尿膜管闘病記⑥ ~手術!~
夕方、全身麻酔で手術。
◆12/4月曜日 午後
病室に案内されると、さっそく点滴の管を刺される。午前中のCT以来、人生2度目の点滴だ。採血の注射さえ苦手なぼくは、点滴の注射も緊張する。右腕に点滴を繋がれ、動きにくい。
ここで、病棟の共有スペースのようなところに移動し、会社の上司に、入院・手術することになったことを電話する。病室では電話禁止だ。
上司には、朝、「体調不良で通院のためお休みください」と連絡を入れていただけなので、さすがに驚かれる。でも、どうしようもない。もはや起き上がれないくらいお腹痛い。
上司に「手術は1週間後」と話しているところで、病室で待っていた妻が現れる。急遽、本日手術するかも、伝言しにきたのだ。もうバタバタだ。上司には、やっぱり本日手術かも、状況分かったら連絡すると伝え電話を切る。
「手術する」と言っても1週間後の話だと思って、多少、心に余裕があったが、急展開も甚だしい!
病室に戻ると、入院手続きに関する各種書類が山のようにあり、お腹の痛みに震える手でがんばって、それらに記入する。このとき、痛み止めが切れかかっており、本当に手が震えるくらいお腹痛かった。字、読めないんじゃなかろうかと心配した。
担当の先生が手術の説明にみえる。説明によると、手術は2段階になるとのことだ。
CTの結果を精査したところ、膿の量が多く、また核と呼ばれる石のような塊もできているとのことで、まずはそれらを摘出する手術を行う。この手術を本日16時から行うとのことだ。
次に、尿膜管を摘出する手術を行う。こちらは、本日行う予定の手術で、膿を摘出した後に、炎症が治まったところで諸悪の根源である尿膜管を摘出するということらしい。
2回も手術すると聞いて、さらにげんなりする。
16時の手術まで待ち。妻は、着替えなどを取りに一旦帰宅。
僕は寝て待つ。待ってる間に、本格的に痛み止めがきれ、お腹の痛みがひどくなる。熱も38度まで上がった。これまでは、熱が出始める前に痛み止めを飲んでいたので、発熱がなかったようだ。
この痛みの中で、1分1秒でも早く手術して、痛い部分を取ってしまってほしい気分になる。
痛み止めを点滴してもらって楽になり、手術直前まで眠る。
16時ごろ、手術用の服とタイツに着替える。妻も着替えをもってきてくれている。
ズボンは脱ぐが、パンツは履いたまま。
下腹部の手術なので、下の毛とか剃るのかと思っていたが、剃られないようで安心する。ギャランドゥとか生えてる人はさすがに剃るのだろうか、などと呑気なことに頭が回るのは手術後1週間してからの話。
手術着に着替えると、途端に緊張してくる。ついさっき病院に来たばかりなのに、本当に手術するのか。
着替えてからそれほど時間を置かず、担当の看護師さんが迎えに来て、歩いて手術室へ向かう。お腹が痛いのでちょぼちょぼ歩き。点滴台にしがみつきながら歩く。
「帰りも歩いて戻ってこれるんですか?」と看護師さんに聞いてみる。手術の後に歩いて戻ってくるのは、さぞ痛いんだろうなと心配になったのだ。
「いえ、全身麻酔なので寝たままですよ」という答え。
この期に及んでも自分の置かれている状況を把握できてないぼく。
エレベータで手術室のあるフロアまで移動し、なんか手術のいろんな担当の人に挨拶されつつ、手術室に入る。ドラマなどで見たことある手術室だ。
平井堅が小さめの音でかかっていた。
手術台に寝かされ、担当医と外科部長が僕のおへその下辺りを触る。
激痛で声を漏らし、思わず体を反らすと、担当医と外科部長は「たくさん入ってそう」と喜ぶ。
おちょこどころか、コップ一杯あるかも。と言っている。楽しんでいる。
心電図のプニプニも装着される。
そうこうするうち、麻酔が始まる。麻酔は点滴で、なんか2種類くらった気がする。麻酔の副作用で少しむせる。歯医者さんとかだと、麻酔が一番痛かったりするので、そのつもりで麻酔の注射を覚悟していたが、一安心だ。
麻酔を打たれると、何度か名前を呼ばれて意識の有無を確認される。
何回かは返事をしたことを覚えているが、次の瞬間には、『終わりましたよー。よくがんばりましたね』の声が聞こえた。よくがんばったと言われても、寝てただけなのでどう答えていいか分からない。というか、もう手術終わったの!?という感じ。
全身麻酔恐るべし。
続いて、『全部やっちゃいました』という声。
2段階でやるつもりだった手術が一気に終わったということだ。ラッキーと思ったことを記憶してるが、そのまま意識が遠くなって、次に気が付いたのは病室のベッドの上だった。